2023.08.1621:00
Oyasumi Tokyo
疲れ切った夜。
帰りの電車はやけに静まり返っている。
重たい足で乗り込んだ車内には
この世の不幸を全て背負ったかのような顔をした人達と、
悲しみを一滴も余さず飲み干した人々が混在していた。
一方僕は言わずもがな前者である。
他人にとってはどうでもいいようなことで
えらく気が滅入る僕にとっては、
この世界はどうやら明るすぎる。
誰かの優しさに気付ける人間でありたい。
誰かの悲しみに気付ける人間でありたい。
もらった優しさはバトンのように繋がっていく。
あの人に教えてもらった愛し方を
自分も誰かに渡す。
あの人に教えてもらった悲しみを
誰かに渡さないようにする。
時に悲しみが溢れてしまって
抱えきれなくなる。
そうなれば渦に飲まれてしまう。
車内には渦に飲まれそうな人がたくさんいる。
限界を迎える前に。
この歌が届きますように。